国際疼痛学会の定義（1981）では“痛み”について「組織の実質的あるいは潜在的な障害に伴う、あるいは、そのような障害を表す言葉で表現される不快な感覚あるいは情動体験」と表され、“痛み”は主観的な感覚・感情であり、患者が痛いと言えば痛みが存在すると考えられています。

　現代は医薬品の進歩により、多くの苦痛を解決出来るようになってきました。しかしその苦痛の原因には発達課題や潜在的な社会的・心理的・精神的要素があると感じています。

　その問題に対して私たちは全人的な看護・リハビリテーションを通して、利用者様に対して不安の軽減や解決が出来るようサービスに努めて参ります。

　その為に私達には多くを学び、世の中の求めるサービスを提供する必要がありますが、まず自らが健康で幸せに生活している事は必要なのは言うまでもありません。

　幸せというキーワードは誰もが耳にしたことはあるかと思いますが、その定義を理解しているは少ないのではないでしょうか。ハーバード大学で心理学の名誉教授であったエリクソンは「発達課題」という概念を提唱しており、成人教育学の代表的な研究者であるハヴィガーストは「発達課題とは人生の各発達段階の時期に生じる課題で、それを達成すればその人は幸せになり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げる事が困難になる課題」と述べています。

　現代ではキャリアアップの為に、突出した能力を磨きながら転職する方が増えてきました。その反面、周囲とコミュニケーションが取れない人や、収入や待遇など目先の不満や他人からの評価を気にしてみたり、仕事の好き嫌いなど自分自身の感情による理由付けをしながら、転職を続ける発達課題のバランスが取れない不幸せな方も多く見受けられます。しかしピーターパンに出てくるようなネバーランドや会社は無いのが現実です。

　医療の発達と医師の人手不足を担うため、主たる看護を診療の補助とする看護師が増え、看護師はストレスフルとなり、転職が多い代表的な職業となっています。その看護師に「看護とは何か」と聞いても、残念ながら答えられる方は少ないのが現状です。近代看護の創始者であるナイチンゲールは、我々が目標とする看護を「看護とは、体内で働く自然治癒力が発動しやすいように、患者を取り巻く生活のすべてを、生命力の消耗を最小にする様に、最良の条件に整えることである。」と述べています。

　現代社会では男女平等を謳うようになり、性別を問わず社会参加が求められるようになりましたが、我々は、自らの職業に対する自己肯定感や生産性のバランスを育みながら社会に参加する為に、我々にはどのような準備や学びが必要なのでしょうか。

　ライフチューンでは、在宅分野で自らを自己分析しながら発達課題のバランスを取り、利用者様の求めるサービスの提供を実践できる看護師やリハビリ職が必要と考え、発達課題やナイチンゲールの思想の啓蒙、その思考に共感できる集団の育成に取り組んでまいります。

代表取締役/看護師/理学療法士/鍼灸師　岩崎 千昇